代表理事会長ご挨拶

CRD協会は、中小企業への資金供給の円滑化を図ることを目的として設立された、信用リスク情報に関するデータベース機関です。会員の皆様から提供された財務データやデフォルト情報を蓄積し、事業者の信用力を数値化するスコアリングモデル(CRDモデル)をはじめとして様々なサービスを開発・提供しています。中小企業庁の発案により、全国の信用保証協会や金融機関の協力を得て2001年3月に発足しました。

CRDの特徴は、中小企業の信用リスク情報に関するわが国最大規模のデータベースであり、業種・地域・規模等の偏りが少ないこと、そのモデルが信用保証協会の保証料率決定に使用されていることなど、公益性が高く、中小企業金融における社会インフラとして重要な役割を担っています。こうした重要性に鑑み、保有データや構築したモデルについて、第三者委員会による外部評価を毎年度行うことなどにより高い精度・信頼性を維持しているほか、情報セキュリティマネジメントについて国際規格の認定を取得しています。

CRD協会では、蓄積されたノウハウを活用し、既存サービスの改良は勿論のこと、新しい多様なサービスの開発にも積極的に取り組んでいます。例えば、アパートローンの債権管理の高度化・効率化に役立つ「アパートローン共同データベース」を金融機関有志の方と構築したほか、預金の入出金データをもとに、AIを駆使してタイムリーかつ高精度の信用力評価を行う「トランザクションモデル(T-Forest)」を2019年から提供しています。また、2025年5月から、財務データの入力負担を大幅に軽減した「簡易なスコアリングモデル」の提供を開始しました。

近年は、国内での活動にとどまらず、アジア諸国を中心に国際事業も展開しています。例えば、2020年から国際協力機構(JICA)の技術協力プロジェクトに参画し、フィリピンにおける信用リスクデータベースの構築・運営の技術移転を行っています。2024年に初期段階の構築が完了し、2025年2月からは、運営基盤の強化や持続性の向上を目指す「第2フェーズ」に取り組んでいるところです。

CRD協会では、今後とも、信用リスクデータベースという重要な社会インフラを充実・発展させ、皆さまの役に立つ付加価値の高いサービスの提供に努めて参ります。そして、中小企業金融の一層の円滑化、信用リスク管理の高度化に貢献するよう尽力して参ります。

今後とも変わらぬご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

2025年6月

代表理事会長 柳原良太

ページの先頭へ